資産運用7つのポイント
2020.01.17
投資や資産運用には2通りあります。
1つは自分で一から行うタイプ、もう1つは人に任せるタイプです。
お任せタイプの資産運用には
・投資信託系運用
・自動売買系運用
・貯蓄型保険
などがあります。
お任せタイプの資産運用は、面倒なことをプロやシステムが代行してくれるので、簡単に始めることができます。
投資金額も数万円、数十万円からできますので、取りかかりやすい資産運用法といえます。
しかし、簡単だからこそ、どのお任せタイプにするか選ぶ際には慎重になった方がいいでしょう。
いくら簡単だからといって、お金が殖えていくとは限りません。
お任せタイプの資産運用を選ぶ際の注意点としては
① 企業名や広告だけを見て決めない
② 運用実績を確かめる
③ 安全性が高い商品を選ぶ
④ 手数料は安いか比較する
⑤ リスクを限定できるか確認する
⑥ 透明性が高いほうを選ぶ
⑦ 時代に合った商品を選ぶ
などがあります。
それぞれの項目について詳しく説明していきたいと思います。
目次
①企業名や広告だけを見て決めない
資産運用や投資のご相談の中で一番多いのが、塩漬けになっている運用をどうしたらいいのか・・というものです。
(※塩漬けとは、元本割れしている運用のこと)
それらのご相談の場合、よくお聞きするのが
「大手の○○保険、○○銀行に勧められて…」
というものです。
その商品を売っている企業が立派であることに越したことはありませんが、企業名の認知度が高くて得られるのは安全性だけです。
しかし、安全性が高い=損をしない ではありません。
「安全性が高いからいいじゃないか!」
と思う方もいらっしゃるとは思いますが、実はお任せタイプの注意点の1つしか満たしていないことになります。
安全性だけを求めるなら、預金したり金(ゴールド)を買って金庫に入れておいた方がいいと思います。
お任せタイプを選ぶ際には、商品を販売している企業名だけを見て決めず、他の注意点も確認してから選ぶようにしましょう。
②運用実績を確かめる
実績が悪ければ話しにはなりませんが、それなりに良い実績結果だった場合、これまでの実績が明日からも続く可能性が高いかどうかを見極めることが大切です。
過去の実績が良くても明日からは悪くなる場合もあります。
それを見極めるポイントは、常勝トレーダーの売買履歴にあります。
その商品の運用を行っているのが、人間なのか、コンピューターなのかは関係ありません。
常勝トレーダー、プロトレーダーとして何年も実績を残している人の売買履歴には、ある一定の傾向があります。
ですので、常勝トレーダーとその商品との売買履歴の傾向が似ていれば、今後も殖える傾向が高いということです。
常勝トレーダーの売買履歴の特徴は3つあります。
・勝率はそんなに高くない
・利益と損失(リターンとリスク)の比率が1.5:1以上
・プロフィットファクターが1.3以上
いにしえでは、この3点が確認できない商品には投資しません。
商品によっては、1点しか確認できないので、その1つだけでも確認した方が良いでしょう。
勝率はそんなに高くない
通常、「勝率は高い方がいいんじゃないの?」と思われるかもしれませんが、全く逆です。
勝率が高いものは信用できません。
例えば、「高確率」とか「勝率90%以上」などの謳い文句があるものは、それから先の話は聞く必要はありません。
常勝トレーダーの勝率の平均が5割前後ですので、高確率のフレーズが出た時点で信用できない商品というのが分かります。
お金が殖えるかどうかに関しては、勝率が一番関係ありません。
9割以上の勝率を1年間で残すことなど常勝トレーダーでも不可能です。
利益と損失(リターンとリスク)の比率 1.5:1以上
例えば、10年間の売買履歴を見た時にトータルでは殖えているけれど、10年の内大きな損失が2,3回ある場合などは損大利小の取引をしている可能性が高いです。
こういう場合は長く続きません。
どこかで必ず大きなドローダウンがあると思った方がいいでしょう。
運用実績として、良いものは殖える時の数字も大切ですが、減っている時の数字が小さいものを選ぶ方がいいでしょう。
トータルとして平均利益と平均損失が1.5倍程度程度であればいいと思います。
プロフィットファクターが1.3
プロフィットファクターとは、簡単にいうと利益率のことで、いかに資金効率が良いかを計算した値です。
計算式は 「全体の利益額÷全体の損失額」 で表すことができます。
利益の全体額が130万円、損失の全体額が100万円。損益は+30万円の場合
130÷100=1.3 プロフィットファクターは1.3になります。
利益の全体額が330万円、損失の全体額が300万円。これも損益が+30万円ですが
330÷300=1.1 プロフィットファクターは1.1になります。
同じ30万円を稼いだとしても、利益額に対してどれくらいの損失を出したのかを数値で把握することができます。
常勝トレーダーは、これが1.3以上。
1.3以下でもこれに近い数字であれば良いと思います。
プロフィットファクターは、7つの注意点の中でも一番重要です。
③安全性が高い商品を選ぶ
投資をする際に、どこかにお金を入金しなければいけません。
特に、海外投資の場合は、入金先や預け先の信用情報が不透明であれば危険ということになります。
例えば、あなたに良い投資話がありました。
入金先はこうなっています。
■○○株式会社の海外銀行口座
■○○諸島公認のファンドの銀行口座
なんだか、どれも危ない匂いがしますね。
では、これだったらどうでしょう?
■シンガポール公認の○○証券会社の自分専用の口座
■スイス公認の○○ファンドの銀行口座
これだったら、あまり危ない匂いはしないと思います。
投資で騙されないために必要なことは3つあります。
1. 信託保全がされている
2. 信託保全を行う金融機関に信用度がある
3. 投資家保護の法律が整備された国で公認を受けた金融機関もしくはファンドである
投資詐欺にあわないためには、まずこの3つが最低条件です。
投資詐欺のほとんどは個人口座や会社の口座です。
詐欺でなくても信託保全という分別管理がなければお金が返ってこない可能性があります。
いにしえでは、入金先の資金が保全されるかどうかを見て安全性を判断しています。
どこに入金し、自分の資金をどこの金融機関が保全してくれるのかを見極めましょう。
投資をする上で最も大事なことになりますのでご注意を。
④手数料は安いか比較する
仕事上、いろいろな投資商品を見ますが、真っ先に確認するのが③安全性と④手数料です。
しかし、資産運用の相談の中で、投資先の運用手数料について全く知らないという方も結構いらっしゃいます。
お任せ運用の場合、手数料をそれなりに払うことは仕方ありませんが把握しておくことは重要です。
例えば、投資信託を銀行や証券会社で買う場合、販売手数料が3%、毎年かかる信託報酬が1.5~1.6%となります。
これを長期間保有するとどうなるかというと、毎年かかる信託報酬だけでかなりの金額になります。
金融機関が売る商品は、売る側が儲かるようにできています。
どれくらいが手数料として妥当なのかは、商品にもよりますので明確なことは言えませんが、手数料はお任せ運用では必ずチェックするポイントです。
また、同じくらいの運用利回りが期待できる金融商品でも、手数料が違うことがあります。
しかし、場合によっては運用成績や期待できる収益が全く同じでも、手数料を10分の1、もしくは100分の1にする方法があります。
「手数料が高い=リスクが高い」ということになりますので、手数料が安い運用を選んだ方が良いと思います。
⑤リスクを限定できるか確認する
簡単に言うと、途中で解約する際のデメリットが大きいものはやめた方が良いという事です。
長期間の積立投資の場合、途中解約時の手数料など、リスクを事前に想定しなければなりません。
また、運用期間が〇年と決まっている場合も同様に注意が必要です。
できるだけ、途中解約のリスクが少ないものがいいと思います。
資産運用で一番重要なのはリスクを「自分で」限定することです。
お任せタイプの資産運用も、自分でやる資産運用も同様に言えることですが、勝つ人と負ける人には違いがあります。
勝つ人は、勝つまでやるか、勝ち逃げするかのどちらかです。
負ける人は、自分のスタイルがないか、負ける時のことを考えていない人です。
投資初心者で、負ける人のほとんどが、この「負ける時のことを考えていない人」です。
資産運用をする際は、うまくいった時とダメだった時のことを考えておいた方がいいです。
リスク管理ができていなければ、いずれ資産を失うことになります。
⑥透明性が高いほうを選ぶ
自分の預けた資金が、どのように運用されているかを確認できる方が安心できると思います。
運用実績を確認できる投資先は透明性が高い という事になります。
全ての取引は確認できないにしても、優良なファンドであれば顧客それぞれにアカウント(口座)があり自分の資金の運用状況が分かります。
自分専用のアカウントや口座があれば良いですし、ない場合は確認した方が良いでしょう。
⑦時代に合った商品を選ぶ
時代に合っているかを確認する場合は、期間を3つに分けます。
1. 経済成長しているまたは景気が上向きの時期
2. 経済成熟または景気が最高潮の時期
3. 景気が減退している時期
この3つの期間に分けて金融商品を選ぶことが、資産運用をする上ではとても重要です。
それぞれの期間で有利な金融商品は
1.の時期は株
2.の時期は債権や預金
3.の時期はオルタナティブ投資
になります。
オルタナティブ投資とはヘッジファンドや為替、商品先物などの金融商品となります。
オルタナティブ投資の魅力は、上昇相場だけでなく下降相場でも利益が狙えるという特色があります。
日経平均や、アメリカのダウ平均などが下降していても、利益が出せる運用となるのでリスクヘッジとして使える運用法です。
日本人は、なぜか株や債券に投資している人が大多数なのですが、このように期間を分けて考えることによって今一番有効な資産運用は変わってきます。
株や債券なども、その時期によっては一番有効な運用法にもなりますが、常に株や債券が安全とは限りません。
「時代に合った資産運用」を行う事で、バランスのとれた運用が可能ですし、資産を殖やし、時には守っていく上で期間に応じたポートフォリオの組替えはとても重要となります。
お任せタイプ資産運用の注意ポイントまとめ
以上、お任せタイプの資産運用7つのポイントでした。
ただ単に、パンフレットを見せられて
「これだけ実績があるから大丈夫です」
と勧められても、信用できないことがお分かりいただけたと思います。
7つのポイント全てを満たしている金融商品が、一番良いに越したことはありません。
しかし、全てを満たすことが難しくても、いくつかのポイントを満たした金融商品を選択することで、より安全、より確実な資産運用が可能となります。