失敗する投資①ワンルームタイプの区分マンション
2020.08.07
失敗する投資の中で、圧倒的なワースト第1位は、ワンルームタイプの区分マンション投資です。
最近では、不動産投資のCMや広告が多く見られますが、絶対にやめた方がいい投資といえるでしょう。
理由はハイリスクノーリターンな投資だからです。
チラシやネットの広告でうたわれているようなローリスクではないですよ!
ノーリターンなので絶対に儲かりません。
儲からないだけならまだいいのですが、負の遺産が残る可能性があります。
それでは、ハイリスクノーリターンの理由を説明していきます。
目次
ワンルームマンション投資の具体的な例
では、実際にワンルームマンションの投資をした場合の収益についてシミュレーションした結果を見ていくことにします。
投資するワンルームマンションの金額は、場所にもよりますが、だいたい2,000万円から3,000万円ぐらいの価格帯が多いです。
ワンルームマンションを自己資金で購入可能な人は、自己資金+融資で一棟買いを検討する方が多いので、ワンルームタイプの区分マンションをわざわざ現金で買う人はあまりいません。
一般的には、銀行融資を受けて買う人が多いと思いますので、融資での購入を前提にお話しします。
物件価格3,000万円を全額融資で購入した場合の、30年間のシミュレーション結果です。
参考例:東京都荒川区東日暮里
経費
固定金利2.0% 30年返済の場合、毎月の返済額は約11万円。
これに固定資産税などの税金や管理費・修繕積立金などが月に1万円かかるとすると月12万円のお金が30年間ずっと必要になりますので、総額4,320万円にもなります!
家賃
東京であれば物件価格が3,000万円だと新築家賃が10万円程度です。
家賃下落率を年1%、入居率を95%で30年間シミュレーションすると、30年間の家賃回収総額が2,967万円です。
返済や経費を合計した支払い総額4,320万円、30年の家賃回収総額で約3,000万円、30年間で、なんと差引1,353万円のマイナスです。
30年後に返済はなくなりますので、ここからは家賃から経費を差し引いた分が利益になります。
下落率1%とすると、30年後の家賃が月7万円、月に1万円の経費を引いて利益が月6万円です。
さてここから30年間支払った約1,300万円を取り戻すのになんと18年かかります。
ということは48年かけてようやくトントンです。
もしくは30年後に1,700万円で売却できれば税引き後1,350万円になるのでトントンです。
営業マンは「不動産投資は税金の還付があるからそこまでマイナスにはなりません」と説明してくるでしょう。
しかし、年収500万円であれば初年度だけは30万円~40万円程度の還付があるとしてその後は年間5万円程度です。30年総額でも200万円以下です。
税金の還付分を差し引いても1,000万円以上のマイナスとなります。
ノーリターンの意味が分かってもらえたかと思います。
絶対に儲かりません。
エクセルでシミュレーションすれば誰でも分かるのですが、それでも買う人がたくさんいる様ですので、本当に不思議なものです。
不動産投資のメリット
上記で説明したようにワンルームタイプの区分マンション投資はノーリターンなので、お金に関するメリットは一つもありません。
ただ一つだけメリットがあります。インフレ対策です。
不動産投資はインフレ対策としては非常に有効です。
ワンルームマンション投資に限らず不動産投資はインフレ対策になります。
インフレになれば、借りている金額は実質目減りしますし、家賃も上昇しますので、全額自己資金でも全額融資でも、どちらもインフレ対策になります。
不動産投資のデメリット
- デメリットは
- 返済リスク
- 保有リスク
- 処分リスク
- 天変地異リスク
- 借入限度額リスク
の5つのリスクがありますので一つずつ見ていきましょう。
返済リスク
融資を受けて不動産を取得しているのであれば、毎月返済しなければいけません。
仮に入居者がいなければ家賃が入ってこないので自分の財布から返済に充てなければいけません。
銀行はそんなに待ってはくれないのです。
聞いた話では「返済が2週間遅れただけで給料が差し押さえらえた」なども聞きます。
とくに、ワンルームマンションはファミリータイプに比べると入居者の入れ替わりが激しいという特徴があります。
入れ替えの時期は、少なくても1ヶ月は空室になるので、当然その間の返済は自分でなんとかするしかありません。
保有リスク
単純に保有しているだけでは固定資産税や、物件の価値を維持するための修繕費用や清掃費用等がかかります。
また築年数が古くなると、キッチン周り・お風呂・トイレはリフォームしないと入居者が決まりにくいです。
物件の価値を維持するためにはリフォーム費用も計算しておかなければいけません。
処分リスク
購入する前から手放すことまで考える人は少ないかもしれませんが、これは考えていた方がいいリスクだと思います。
自分が買った物件が30年後に買い手がいると思いますか?
とくにワンルームタイプの区分マンションであればこれは大きなリスクです。
絶対に購入はおススメしませんが、購入してしまった人は、多少損をしてでも買い手がいる内に手放した方がいいと思います。
買い手のいなくなった物件は業者に安く買いたたかれる運命です。
あなただったら築30年のワンルームマンション買いますか?
30年後その地域、大丈夫ですか?
もちろん大丈夫なケースもあると思いますが、大きなリスクの一つです。
入居者もいない。買い手もいない。毎年経費だけがかかる負の遺産になってしまった。
ということだけは絶対に避けましょう。
天変地異リスク
天変地異リスクとは、日本で一番可能性の高い例は地震でしょうか。
地震のことまで考えていたら何も出来ないともいえるので、大地震が起きて被害があった時は仕方ないと割り切るしかなさそうです。
地震保険もありますが、被害額相当が出るかどうかは分かりません。
法律で、地震保険は火災保険の保険金額の半分までしか出ないと決まっています。
借入限度額リスク
例えば、ワンルームマンション投資3,000万円の融資を受けている人が、その後に自宅を購入しようと思った場合、希望のマイホームローンが組めない可能性があります。
ワンルームマンションは、担保価値もほとんどないために、マイホームローンを組む際にプラスに働くことはありません。
借り入れできる上限というのは、年収によって決まっていますので注意が必要です。
といった事態に陥るかもしれません。購入は慎重に。
5つのリスクを説明しましたが、ハッキリ言ってデメリットしかありません。
絶対におススメしない理由がお分かり頂けましたでしょうか。
不動産の価値
基本的には不動産にかかわらず“価値”は需要と供給のバランスで成り立っています。
不動産の価値に関していうと、日本は今後かなり地域差が出ます。
ですので日本全体の不動産価値というような説明は難しいので、ワンルーム投資が集中している東京都を例にして説明します。
東京都が2019年3月に発表した「東京都世帯数の予測」を元に説明すると、人口のピークが2025年の1400万人。
それ以降はゆるやかに減少する見込み。
単身者世帯数のピークが2035年の346万世帯。それ以降はゆるやかに減少する見込み。
需要は2035年以降は減るということです。
それから供給量は間違いなくこれからも増えます。
東京都も、とうとうワンルームマンションの広さが“25㎡以上じゃないとダメ“という規制を始めました。
このような規制があるということは、供給過多になっているということをあらわしています。
単身者の人口が2035年にピークを迎えるのに、どんどん新しい物件が建つと供給過多になってしまうのです。
ということで、東京都のワンルームタイプの区分マンションの価値は、東京都が発表している人口推移のデータから判断すると今後下がる可能性が高い、ということになります。
不動産投資の宣伝が多い理由
実は、私は不動産営業の職に10年間勤めた経験がありますので、売る側の都合はよく分かります。
辞めてから10年以上経ってしまいましたが、何年経っても原理原則は変わらないので私の経験を交えて説明します。
結論か言うと業者が儲かるし、売りやすい販売価格帯なので必然的に広告や宣伝も多くなります。
不動産投資の広告が多い理由①
【販売する業者が儲かるため】
会社の営業体制や給与体制にもよりますが、営業マンの歩合はだいたい物件価格の1~3%程度です。
物件価格が3,000万円であれば一戸売れれば歩合が30万円から90万円になります。
そして営業マンにこれだけ歩合を出せるということは、会社は当然それ以上にかなり儲かるということです。
なので、宣伝や広告費に多額の出費をしても、それ以上に利益が見込めるので広告や宣伝が多くなります。
不動産投資の広告が多い理由②
【売りやすい販売価格帯だから】
売りやすい=融資が下りやすい ということになります。
ワンルームマンションタイプだと2,000~3,000万円、実はこのくらいの金額は銀行の融資が下りる確率が高いからです。
区分マンションに銀行が融資をする基準は、その人の属性によって変動はありますが、だいたい年収の8倍ぐらいです。
(区分ではなく土地建物丸ごと一棟物件の場合は、担保価値がまず重視されるのでこの基準ではありません。)
年収400万円以上が融資基準をクリアする一つの基準になるのですが、
年収が400万円だったら、400万円×8倍で3,200万円までの融資が基準となります。
ということは3,000万円以内のワンルームタイプはだいたい融資が下ります。
マイホームローンがある人は、そのローンも含んだ計算になるので、やはり2,000~3,000万円ぐらいが融資が下りやすく、売りやすい販売価格帯になるということです。